
屈折測定を行なう上で大切なことは、調節の介入を避けることです。今回は、調節の影響が現れやすい若年のお客様で、オートレフラクトメーター値は近視を示しながら、実際には遠視眼鏡を作製した事例をご紹介します。
<お客様事例紹介>
「遠く・近く共に見づらい。目が疲れやすい。」とご来店。
◆17歳 女性 高校生
◆現眼鏡度数 3年前
PD63mm
R)S-0.25D
L)S-0.25D
◆オートレフ値
R) ①S-6.00D
②S-4.25D C-0.25D AX82゜
③S-2.00D
L) ①S-3.75D C-0.25D AX168゜
②S-2.25D
③S-1.25D
④S-1.00D C-0.25D AX178゜
⑤S-1.00D C-0.25D AX175゜
◆裸眼視力
R)0.4
L)0.9
ポイント
(球面値の変動、裸眼視力の左右差から) |
◆裸眼での調節近点測定
R)22cm
L)25cm ※連続近点に延長傾向あり
◆両眼雲霧法測定による完全補正値
PD64mm
R)(1.2p×S+0.50D)
L)(1.2p×S+0.75D)
ポイント ○最高視力の得られる最もプラス側の屈折値が本来の度数。 ○遠方、近方共に見やすくなった。 ・調節近点に改善が見られた。 |
◆作製度数
PD63mm
R)(1.2p×S+0.50D)
L)(1.2p×S+0.75D)
ポイント 調節機能の働きが回復できたと考えられる。 |
<両眼雲霧法とは?>
両眼雲霧法は、調節の介入を効果的に除去しながら両眼開放状態で
行う屈折測定です。

(1)両眼に+2.00D~+3.00Dの
プラスレンズを装用。
・他覚的屈折値(オートレフ値)に
+2.00D~+3.00Dを付加して装用。
・雲霧により両眼視力を(0.1~0.2)にする。
・必ずプラスレンズを装用。
・他覚的に強度乱視が測定された時は
乱視度数を装用。
(2)20~30分間、遠方をぼんやりと
ご覧いただく。(10分でも効果あり)
・積極的な調節除去方法として、
遠点よりやや遠方の目標を見る。
(3)両眼共に雲霧状態を維持し、遮閉は
行わず片眼ずつプラスレンズを弱めて、
最高視力の得られるプラスより度数を測定する。
・プラスレンズを交換する時は、
雲霧効果を持続させるため、次のレンズを
装用後に先のレンズを除去する。
・雲霧レンズを弱めながら、各度数において
視力を確認することが、大切である。
視標にピントを合わせようとすることで、
調節除去の効果がより顕著に現れる。
・片眼の測定が終了したら再び雲霧レンズに
戻して、他眼の測定に移る。
コンテンツ提供:WOC
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