
思春期から青年期にかけて近視や乱視の急激な進行が見られるケースに「円錐角膜」があります。
単なる屈折異常と円錐角膜を見分ける測定のコツを紹介します。
<お客様事例紹介>
事例(1)「メガネをかけても見づらくなった。」とご来店
◆22歳 男性
◆現眼鏡度数
PD67mm
R)(0.3×S-1.75D)
L)(0.1×S-1.75D)
◆オートレフ値
R)S-2.25D C-4.00D A18゜
S-2.50D C-4.00D A20゜
S-2.50D C-4.00D A19゜
L) S-5.00D C-3.75D A137゜
S-4.50D C-3.50D A136゜
S-4.50D C-3.50D A136゜
◆完全補正値(レンズ交換法で測定した自覚的屈折値)
R)(0.8p×S-2.25D C-2.25D A20゜)
L)(0.3 ×S-4.00D C-2.50D A135゜)
<特徴>
○短期間で乱視の発生や大きな変化が見られる。
○短期間で近視の進行が見られる。
○オートレフ値と自覚的屈折値に差がある。
乱視、近視ともにオートレフ値が強い傾向がある。
○補正視力の低下が見られる。(視力が出にくくなる)
○年齢は10代後半から20代前半の男性が多い。
<円錐角膜と通常の屈折異常を見分ける方法>
○オートレフ測定で測定位置を故意にずらして測定値の変化をみる。
円錐角膜では、位置によって測定値に変動があり、瞳孔中心の
やや下方の突出が大きく、近視、乱視度が最も強くなる。

R)S-2.25D C-4.25D A20゜ (瞳孔中心)
S-3.75D C-5.00D A19゜ (瞳孔下方)
S-1.75D C-2.25D A20゜ (瞳孔上方)
L) S-4.25D C-3.25D A133゜(瞳孔中心)
S-5.50D C-5.75D A138゜(瞳孔下方)
S-3.25D C-3.25D A134゜(瞳孔上方)
○スキア測定を行うと、円錐角膜では線条光が「く」の字形に歪む。
<円錐角膜と思われるお客様の対応について>
○眼鏡での補正視力が不十分であることから眼科受診をすすめ、
眼科医の診断と指導を仰ぐようにお薦めしましょう。
眼科では、スリットランプやフォトケラトメーターにより診断します。


(上の写真は直乱視と円錐角膜のカラーコードマップ・・・「角膜形状解析 症例集」より )
<円錐角膜とは?>
角膜の一部が前方に向かって円錐状に突出してしまう病気です。多くは両目に起こります。思春期から青年期にかけて発病し、少しずつ変形が進んでいく進行性の病気です。原因ははっきりしていません。角膜の変形が進むと、それに伴って視力の低下が起こってきます。乱視がひどくなったりします。
コンタクトレンズ(ハード)での補正が基本的な対応となります。30歳を過ぎると進行が鈍くなります。変形が強い場合は、稀に角膜移植が必要になります。
<参考文献>「目の症状・目の病気」丸尾敏夫 監修、1998年、NHK出版
コンテンツ提供:WOC
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