
近視強度数の累進レンズの装用テストで4枚のテストレンズが必要となることがあります。
ところが、多くの眼鏡店で使用しているテスト枠にセットできるテストレンズは3枚まで・・・??
さて、皆さんはどのように対応していますか?
(事例-1)遠近累進メガネの装用テスト
R) FPD32mm S-7.50D C-0.50D A90゜ Add+2.00D
L) FPD32mm S-7.50D C-0.50D A90゜ Add+2.00D
S-7.50Dのテストレンズがない場合、度数転換(軸転換)を利用する3枚のテストレンズで装用度数を設定できます。
① ② ③
R) FPD32mm S-8.00D C+0.50D A180゜ Add+2.00D
L) FPD32mm S-8.00D C+0.50D A180゜ Add+2.00D
(事例-2)Add-1.00Dの近近累進メガネの装用テスト
R) NPD30mm S+1.50D C-3.50D A180゜ Add-1.00D
L) NPD30mm S+1.25D C-3.00D A180゜ Add-1.00D
C-3.50Dのテストレンズがない場合、乱視のテストレンズ2枚で近用度数を設定できます。
<近近累進レンズ装用テスト>
(右眼) (左眼)
C-2.00D A180゜・・・・・・① S+1.25D・・・・・・・・・・・・・・①
C+1.50D A 90゜・・・・・・② C-3.00D A180゜・・・・・・・②
Add-1.00D・・・・・・・・・・・③ Add-1.00D・・・・・・・・・・・・③
<右眼の近用度数を2枚で作製する>
「S+1.50D C-3.50D A180゜」をスコア表示すると、

(事例-3)
R)S-8.25D C-1.00D A180゜ Add+2.00D
L)S-8.25D C-1.00D A180゜ Add+2.00D
お店のテストレンズにS-8.25Dが無いことが多いので、
装用テストに用いるレンズ゙は4枚
S-8.00D・・・・・・・・・・①
S-0.25D・・・・・・・・・・②
C-1.00D・・・・・・・・・・③
Add +2.00D・・・・・・・④
S-8.00D C-1.00D A180゜ Add+2.00D の3枚で
テストすれば良いでしょう。
○頂間距離の違いによる度数効果の変化を利用
S-8.00Dの球面レンズを内側にセットし、中央に累進トライアルレンズ、外側に乱視レンズをセットします。内側にセットし頂間距離が短くなったS-8.00Dの球面度数は、S-8.25Dの度数効果がありますので視力の点では返って出来上がりメガネに近いものとなるでしょう。
例えば、S-8.00Dの頂間距離が4mm短くなると、その度数効果はS-8.26Dとなります。


≪計算式≫


○いつもうまくいくとは限りません。
例えば、S-8.75Dの場合では、内側に入れても度数効果が不足します。S-9.00Dのレンズを中央あるいは外側にセットすれば度数効果の調整はできるのですが、これは像の縮小や周辺部の収差が大きくなりとても見づらいものとなります。特に外側に入れることには問題があります。
○お客様に出来上がりメガネの見え方を体験いただく為には?
・度数に誤差が生じる場合は、まずAddを優先し揺れ歪みを体験いただき、度数については追加レンズを掛け枠の前に当ててよく見えることを確認するとよいでしょう。追加レンズはS-0.25DかS-0.50Dなので、頂間距離がずれても問題ありません。
・お客様には遠用メガネと近用メガネでそれぞれの装用テストを行い、遠用と近用の度数とその見え方を納得いただきくようにします。そして、一枚の累進レンズの中にそれぞれの度数が組み込まれていることを説明します。
・実際のメガネとテストでは差があることを説明しご理解いただきます。
(お客様への説明例)
「テストではレンズを何枚も重ねますし、枠が邪魔になって視野が限られますので実際のメガネと全く同じ見え方の体験は難しいのですが、こんな感じとなります。」
テスト枠やテストレンズの問題で完全な装用テストができない現状があります。テストレンズを4枚セットできるテスト枠もありますが、よりお客様に合わせる為の創意工夫をご提案下さい。
コンテンツ提供:WOC
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