
お客様の屈折状態に合わせた累進レンズのご提案を考えてみました。
不同視眼鏡の留意点は、「不等像視」と「周辺視でのプリズム作用の左右差」です。特に、遠近両用レンズでは近方視すると上下プリズムが発生します。
●近方視で生じる上下プリズムと累進レンズの装用
・抑制があって単眼視しているお客様では、累進レンズが装用できる
ことが多い。
・融像力が強く、近方視で発生する上下プリズムをカバーできる場合
は装用可能である。
・潜在的な上下斜位により、近方視で発生する上下プリズムが相殺さ
れる場合は装用可能である。 逆に発生する上下プリズムが元から
ある上下プリズムを増幅させる場合は、装用がより困難となる。
●不同視のお客様へお薦めしたい累進屈折力レンズ
・近方視で発生する上下プリズム量が少なくなる累進帯の短いタイプ
が適する。
・プリズム基準点がフィッティングポイント下方4mmにあるホヤの累進
レンズが近見時の上下プリズムの発生が最も少ない。(ただし、遠見
時にわずかな上下プリズムが発生する)
●累進屈折力レンズ装用が困難な不同視のお客様へ
・長時間の近業で疲れやすくなるため、近用専用メガネとの併用を
お薦めする。
・近方視で疲れや違和を感じるようであれば、遠用と近用の使い分け
をお薦めする。
・両眼視をしていないお客様で遠方と近方で利き目が代わるお客様
では、モノビジョン装用が適することがある。
<お客様事例>
(完全矯正度数)
RV:(1.2×S-2.25D Add+2.50D)
LV:(1.0×S-5.00D Add+2.50D)ND38cm
(作製度数 1. 累進メガネ対応)
RV:(1.0×S-2.00D Add+2.25D)ND38cm
LV:(0.6×S-4.00D Add+2.25D)ND30cm
※近用明視域を合わせる点では、左眼の加入度を弱めるとよいが、
近用部の左右の度数差がより大きくなり、プリズム発生量が多く
なる。

基準点下方15mmで近方視した時のプリズム効果 (遠近の近用度数はAddで異なるが、簡易的に左右度数差で計算)
R)2.00×1.5=3.00△BD |
(作製度数 2. モノビジョン装用対応)
RV:(1.0×S-2.00D) NRV(0.1)
LV:(0.1×S-2.50D) NLV(1.0)ND38cm
※右眼で遠方、左眼で近方が見えるように合わせている。
遠近両用(累進屈折力レンズ)ご希望の不同視のお客様への対応は、お客様のご要望を第一に考えながら、両眼視機能とプリズム作用を考慮した対応が求められます。
コンテンツ提供:WOC