視力測定で意識しておいてほしい「調節ラグ」について

 

今回は「調節ラグ」が関連する話題をとりあげます。近視の進行に調節ラグが関係しているとの示唆があります。調節ラグと近視進行の関係及び調節ラグの測定法について紹介します。

<調節ラグとは>

近方の視標を明視するとき、調節反応量が調節刺激量よりも少なく、この両者の間の差をいう。(眼科学辞典より)

 

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眼前40cmの一点を明視するためには、計算上は2.5Dの調節が必要となります。

図のように、眼前40cmの視標を見ようとすることは、2.5Dの調節刺激が生じたことになります。それに対して、調節反応(屈折力の増加)は必ずしも2.5Dとならず不足することが多くなります。

 

 

 例えば実際の調節反応が2.0Dとすれば、40cmの視標は網膜の後方に結像することになり、網膜上にはある程度ぼやけた像が映っていることになります。しかし、脳でぼやけと感じない程度のピントのずれに対しては、無駄な調節をせず楽をしようとする傾向があります。このようにして生じる調節刺激量に対する調節反応量のズレを調節ラグと呼びます。

 

 

<調節ラグと近視度の進行>

 

「調節ラグが大きいと近視が進行する」

 

 岡山大学では2002年から2006年にかけて、累進屈折力眼鏡の近視進行抑制効果を判定した。

 

 

 すでに近視眼鏡を装用している学童95名を2群に分けて、1群には前半の18ケ月に累進屈折力眼鏡(Add1.50D)を装用させ、後半18ケ月は単焦点眼鏡を装用させた。他の1群には前半に単焦点眼鏡を後半に累進屈折力眼鏡を装用させた。その間の近視進行度を比較したところ、1年に換算して平均0.11D近視の進行が抑制された。

 

率にして15%近視進行が抑制された。抑制効果としては比較的小さいものの、累進屈折力眼鏡は単焦点眼鏡に比べて、近視進行を有意に抑制することが示された。

 

(日本眼科学会誌 第111巻より抜粋)

 

 

 

単焦点眼鏡装用時の近視進行度    → 平均0.733D/年

累進屈折力眼鏡装用時の近視進行度 → 平均0.623D/年

 

 

以上の結果と同時に、近視進行抑制効果が大きかった4つの傾向を挙げられています。

1.近視度数が軽度なほど効果が大きい。

2.装用開始年齢が低いほど効果が大きい。

3.近見時の内斜位が強いほど効果が大きい。

4.調節ラグが大きいほど効果が大きい。

調節ラグが大きい場合、厳密には網膜上の像はぼやけており、より鮮明

 

な像が投影されるように眼軸が伸びるのではないかと考えられています。

 

各国で二焦点眼鏡、累進屈折力眼鏡の近視進行抑制効果に関する調査が行われてきましたが、その結果は「効果なし」「効果あり」と様々でした。

「わずかではあるが近視進行抑制効果が期待できる」というところが現状ではないかと考えます。

 

 

学生に対し、眼科医の処方箋なしで累進屈折力眼鏡を提案することには課題が残りますが、近視進行を少しでも抑える観点から、近視の過補正に注意しましょう。また近業時のアドバイスとして、軽度近視のお客様は裸眼でよいこと、また中・強度の近視のお客様には弱度の近視眼鏡の使用を提案するとよいでしょう。

 

 

 

<調節ラグの測定法>

 

調節ラグの測定は、老視の加入度数測定に使うクロスシリンダーと十字視標(クロスグリッド)を用います。明るいと調節反応が起こりやすいので、測定は十字視標が見える程度に照度を落として行います。

 

 

また、調節を安定させるためにプラス度数を多めに付加して雲霧状態を設定してから(縦線が見やすい状態から)調整して均等に見える度数を測定するのがよいと言われます。十分な調節力がある40歳以下のお客様の標準的な調節ラグは、+0.75D程度です。

 

調節ラグの測定法
調節ラグの測定法

コンテンツ提供:WOC

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